Claude(クロード)とは
ClaudeとはOpenAIが提供するChatGPTと同じような対話型の生成AIサービスのことです。2023年から日本でも利用可能になり多くの場面で使われています。Claudeはアメリカのスタートアップ企業である「anthropic」によって開発されました。
anthropicとは
Claudeを開発をした「anthropic」とはどんな企業でしょうか?「anthropic」はChatGPTを開発したOpenAIの元社員が2021年に作った企業です。GoogleやAmazonを始めとした大企業から出資を受けておりその額は1年間で1兆円程度に上ります。
これほどの資金調達ができている理由は2つあります。「anthropic」が開発する大規模言語モデルの性能の良さと、彼らの方針です。「anthropic」は特にAIの安全性と倫理性を重視しています。そのため、より便利な生成 AIを作ることも大事ですが、誤った情報を生成してしまう「ハルシネーション」などを防ぐことも同時に行っています。
anthropicのこのような特徴を持っていて非常に高性能なので、たびたびX(旧:Twitter)やブログなどでClaudeはgoogleの生成AIサービスであるGeminiやOpenAIのChatGPTなどと並べられて語られています。
Claude3.5 Sonnetだけに搭載された超便利機能
Claude3.5 Sonnetとは2024年6月に公開されたClaudeの新しい大規模言語モデルです。それまで、Claudeの中ではClaude3 Opusという大規模言語モデルが一番高い性能を持っていました。
しかし、このClaude3.5 Sonnetはそれ以上の性能を持っています。実際、Claude3.5 Opusの2倍の速度を誇り、2倍の問題解決能力を持っています。ほかにもChatGPTやGeminiと比べても優れた性能を持っています。
アーティファクト機能
優れた大規模言語モデルであるClaude3.5 Sonnetですが、ほかの生成AIサービスには存在しない超便利機能を持っています。その超便利機能とはアーティファクト機能です。
Claude3.5 Sonnetに搭載されるアーティファクト機能では、スライド・プログラミングを生成するように指示した時、右側に生成の結果を表示してくれます。単に視認性が上がっただけでなく、プログラミングの結果を右側で実行してくれます。これによってわざわざ別のアプリを開いてファイルの中身を実行する必要がなくなりました。
プロジェクト機能
もう一つの超便利機能はプロジェクト機能です。
この機能では、自分専用のチャットボットを簡単に作成できます。この機能では、それぞれのプロジェクトごとにあるジャンルに特化させたチャットボットを作成することができます。実際、自分の持っているpdfのファイルをアップロードさせて参照元としたり、カスタム指示を与えることでプロジェクトの回答を指示することができます。例えば、口調の丁寧さであったり特定の役割として指示させたりすることです。
利用するには有料プランに入る必要があります。ChatGPTを使っている方は「GPTs」と同じものだと思っていただけると大丈夫です。
Claudeの特徴3選
社会に注目されるanthropicが作った高性能な大規模言語モデルであるClaudeにはどのような特徴があるのでしょうか?
膨大な情報量の処理
Claudeは他の生成AIとは違い、膨大なデータであってもその全てを正確に理解することができます。
なぜなら、入力トークン、つまり入力文字数の上限がChatGPTなどと比べて多いからです。
実際、Claude3 Sonnetでは最大30万トークンの処理ができます。ChatGPTが約3万トークンであることを考えると大幅な違いです。
これによって、文字数が多い論文の読み込みや会議の議事録の作成などに有利になるでしょう。
生成される文章が流暢
他の生成AIのサービスに比べてClaudeはより自然で正確な会話ができます。
なぜなら、Claudeは最先端の自然言語処理を用いることによって人間の感情やニュアンスを捉えることができるからです。
実際、小説、詩の創作からレポート、論文作成まで幅広い文章の作成がより自然なものになります。
これによって、今まで以上に生成AIによって作られた文章がそのまま使えるようになります。
誤った情報を生成することが少ない
Claudeは誤った情報を生成することが少ないです。
なぜなら、Claudeは受け取った質問に対する答えを正解、不正解、不明瞭であるという三種類に分けられるからです。このことによって、ユーザーに嘘をつくハルシネーションを避けることができます。
さらに、このような質問に対する回答の精度は上がってきており、Claude3 OpusはClaude2.1に比べて2倍の精度があります。
このように、Claudeはユーザーに対して誤った情報を生成しないような工夫がされているため信頼して使うことができます。
Claudeのプラン
Claudeは使用用途に応じて複数のプランを提示しています。それぞれの違いを表にまとめると以下のようになります。
それぞれの違いについてみていきましょう。
Claude3 Haiku
Claude3 Haikuは有料版でのみ、使用可能です。Claude3の3つのモデルの中で一番早く、安く動作します。anthropicによると実際競合の生成AIツールの3倍の早さで動作するといわれています。
そのため、なるべく早くシステムを動かす必要があるカスタマーサポートなどに向いています。
しかし、ほかのプランに比べると回答の精度が若干劣ってしまうことは注意しなくてはいけません。
Claude3 Haikuは早さ、安さに優れているため、生成AIを業務に活用するとき簡単なタスクを大量に任せたい場合におすすめです。
Claude3 Sonnet
Claude3 Sonnetは無料版でも使用可能です。Claude3の3つのモデルの中で早さと性能のバランスがとれたモデルです。そのため、大量のデータ処理や画像の分析など業務の時間節約に向いています。
しかし、ほかの二つのモデルに比べると中途半端になっているとも言えます。無料で使えるため私用で使う場合や普段使いに向いています。
Claude3 Opus
Claude3 Opusは有料版で使用が可能なモデルです。3つの中で一番性能が高いモデルです。優れた精度をもっており複雑なタスクに対して向いていることが特徴的です。
しかし、優れた精度をもっている分、生成にかかる時間がほかのプランに比べて長いことがデメリットになります。また、精度が高い分、金額も比例して高くなっています。
Claude3.5 Sonnet
Claude3.5 Sonnetは無料で使用可能です。いままで紹介したClaude3のどのモデルよりも優れた精度をもっており、さらにはClaude3.5 Sonnetでしか使えない機能もいくつかあります。
今後、Claude3.5 HaikuとClaude3.5Opusも登場予定です。そのため、今後は速さや安さ、性能の高さに特化したモデルが登場します。
Claudeの使い方
ClaudeはWebブラウザとIOS版のスマホアプリで使うことができます。
Claudeを始める手順(Web/スマホ)
Claudeを使うには会員登録が必須になります。写真を用いてわかりやすく解説します
このリンクからClaudeの公式ページに飛んでください→Claude
まず、Claudeの会員登録の画面を開きましょう。
会員登録の仕方は2種類あります。
- Googleアカウントでの登録
- メールアドレスでの登録
Googleでの会員登録はメールアドレスでの登録よりも簡単です。なぜなら、Claudeアカウントに新しくパスワードを設定する必要がないからです。そのため、今回はGoogleアカウントでの登録を行います。
Googleでの会員登録を選択したら、電話番号の入力を求める画面に移ります。ここで電話番号の登録をします。
次に名前の登録をします。ここで登録する名前はアカウント名として機能します。
最後に規約や注意事項に対するチェックをしてください。それぞれの日本語訳も載せています。倫理的規範や誤った情報に関する注意事項など重要な情報が書かれています。注意して読みましょう。
Claudeを日本語で始める方法
Claudeのメニューやページは英語で書かれています。しかし、日本語で質問をすればその後の回答は日本語で返してくれるため問題はありません。Claudeが回答した日本語は英語の返答を無理やり日本語訳したわけではありません。自然で流暢な日本語で返してくれます。
たまに、日本語で質問しても英語で返答されることがあります。その場合には入力欄に「以後は日本語で回答してください」と入力しましょう。日本語になるよう指示することによって必ずその後は日本語で返答してくれます。
Claudeの基本機能
新しいチャットを始める/過去のチャットを続ける
Claudeは過去のチャットが残っているためその過去のチャットを引き続き行うことができます。また、新しいチャットをしたい場合にはここから行います。
会話を始める
「How can Claude help you today?」の部分から質問を入力することができます。
スクリーンショットを添付する
PCで表示しているスクリーンを画像としてClaudeに直接読み込むことができます。今まではPCのスクリーンショットを行いファイルから読み込む必要がありました。しかし、この機能の登場によってそれをする必要がなくなりました。
ファイルを添付する
質問にファイルを添付することができます。そのため、画像の解析をお願いしたり、論文のファイルをまとめさせたりすることができます。複数のファイルを同時に読み込ませることも可能なのでファイルの比較を行うこともできます。
活用例
1. 文書作成支援
Claudeは、ほかの生成AIサービスと比べて自然な文章を生成することが得意です。そのため、ビジネス文書やメールの作成などに活用することができます。
例えば、企画書や報告書の下書き作成において、ユーザーが指示すると、Claudeはそれに基づいて自然な文章を作ってくれます。また、既存の文書の校正や改善にも活用できます。文法ミスの修正だけでなく、より明確で説得力のある表現への書き換えもしてくれます。これらの活用法により、文書作成にかかる時間を短縮しつつ、質の高い成果物を生み出すことが可能になります。
2. データ分析
ビッグデータを活用して業務を行う現代において、Claudeはデータ分析を手伝ってくれます。Claudeは特に大量のデータを読み込むことが得意なため他の生成AIと比べてデータ分析が優れています。実際の使い方としては例えば、販売データの時系列分析から将来の需要予測を行ったり、顧客のフィードバックデータから分析を行います。
また、Claud3.5 Sonnetのアーティファクト機能を使えば、分析結果をグラフや図表で分かりやすく解説してくれます。
このようなデータ分析は業務においてデータを用いた業務を手伝ってくれるためClaudeを使うことは業務のうえでメリットがあります。
3. カスタマーサポート
Claudeは質問に対して自然な日本語を返してくれるため、カスタマーサポート業務に活用できます。
まず、よくある質問(FAQ)の作成や更新をブレインストーミングなどで充実させることによって、顧客が自己解決できる情報を増やします。
また、AIチャットボットとして機能し、人がオペレート業務をすることと違い、24時間365日の顧客対応をさせることができます。この時に自然な日本語は複雑な問い合わせや感情的な問い合わせに対応することができます。このような活用法によってより多くの時間をカスタマーサポート以外に費やすことができます。
先ほどのデータ分析と同様に、顧客とのやり取りを分析することで、頻出する問題や改善すべきサービス領域を特定し、製品やサービスの継続的な改善をさせることができます。
その他Claudeの活用(Slack,Notion,AWS)
Slackでの活用
2023年3月にSlackでClaudeが使えるようになりました。当時はベータ版で無料で利用できましたが、2024年8月現在ではSlackのenterprise Gridという有料版に入っているユーザーしか使うことはできません。そのため、現在SlackがEnterprise Gridに加入してない場合には企業内の担当者に問い合わせてみましょう。
実際にSlackでClaudeを活用する場合には以下のようなことができます。
- 議事録の自動作成
音声会話や画面共有機能と連携することによって、会議の内容を自動で要約し議事録を作成してもらうことができます。会議に参加できなかった人がすぐに会議の要点を知ることができます。 - 質問応答
ClaudeはSlack内すべてのチャットを把握しているため過去の会話履歴や共有ドキュメントを元に質問に回答してくれます。そのため、昔の業務で忘れてしまったことがあったとしても調べることなくClaudeに教えてもらうことができます。 - タスク割り当て
チームの会話を分析することによって各メンバーができることや現在のタスクの量を考えることによって最適なタスク割り当てを提案してもらうことができます。この割り当てでプロジェクト管理の効率化をしてもらうことができます。 - マルチ言語リアルタイム翻訳
Claudeは自然な言語に優れているため、異なる言語の翻訳の精度が高いです。この特性を活用し、グローバルなチームの協働がスムーズにすることができます。 - 文章の要約
共有された文章や図表から重要なポイントを抜き出し要約してもらえます。Claudeはより長い文章を読みこむことができるため大学論文など重いファイルの読み込みも可能です。
Notionでの活用
Notion AIには、高性能な言語モデルであるClaude3.5の機能が一部組み込まれています。これにより、Notionでの作業がさらに便利なものになりました。
Claude3.5の最大の特徴は、他の生成AIと比較して際立って流暢な文章を生成できることです。この能力により、Notion AIは単なる文章補完ツールを超えた、真の意味での「AIアシスタント」として機能するようになりました。
具体的には、Notionに記載された情報を基に、全く新しいコンテンツを生成することが可能になりました。例えば、会議の議事録からビジネスメールを作成したり、ブレインストーミングのメモから詳細なプロジェクト計画書を立案したりすることができます。さらに、既存の文章を拡張したり、異なる文体にリライトしたりすることも簡単です。
この機能の真価は、Notionに記録された情報を超えた創造的な文章生成にあります。AIが文脈を理解し、関連する情報を補完しながら、人間の意図に沿った文章を生成してくれるのです。これにより、アイデアの具現化や文書作成の時間を大幅に短縮でき、作業効率が飛躍的に向上します。
ただし、AIの出力はあくまでも起点や参考として捉え、最終的な文章は人間が確認し、必要に応じて編集することが重要です。AIを賢明に活用することで、クリエイティビティを刺激し、より質の高いアウトプットを生み出すことができるでしょう。
AWSでの活用
2024年4月AWS上でClaude 3 Opusが使えるようになりました。この統合により、企業は高度な言語モデルの能力を、安全な環境で活用できるようになります。
最大のメリットは、AWSの強力なインフラストラクチャを活用した高いパフォーマンスとスケーラビリティです。Claude 3のような大規模言語モデルは膨大な計算リソースを必要としますが、AWSのAmazon Bedrockを通じて利用することで、需要に応じて柔軟にリソースを調整できます。
活用方法は多岐にわたります。例えば、カスタマーサポートでは、Claudeを用いた自然言語処理ベースの自動応答システムを構築し、問い合わせの即時対応や適切な振り分けが可能になります。マーケティング分野では、ブログ記事や広告文の自動生成に活用でき、生成されたコンテンツを他のAWSサービスと連携してデータ分析やターゲティングに利用できます。
このようにAWSとClaudeの統合は、企業のAI活用を加速し、イノベーションを推進する強力な基盤となるでしょう。
注意点
情報漏洩の危険性がある
Claudeに個人情報を含む外部に漏らしてはいけない情報を入力しないでください。なぜなら、Claudeはユーザーが入力したデータを取り込む可能性があるからです。これは無料版、有料版に関わらず起こります。
倫理的に問題がある入力をしない
Claudeは倫理的に問題がある入力を拒否するように設計されています。そのため、暴力やアダルトなどの入力をすることはやめてください。
情報の正確性
Claudeを作るAnthropicはほかの生成AIと比べて安全なAIを作ろうと心がけていますが、それでもハルシネーション(事実とは異なる回答の生成)を行うことがあります。Claudeを使う時には、ほかの生成AIの時と同様に回答結果を鵜呑みにすることはやめてください。
まとめ
本記事では、Claudeという革新的な対話型AI技術について詳しく解説しました。Anthropic社が開発したこのAIは、膨大な情報処理能力、流暢な文章生成、そして高い正確性を特徴としています。
活用例としては、文書作成支援、データ分析、カスタマーサポートなどが挙げられます。さらに、SlackやNotion、AWSとの連携により、ビジネスシーンでの活用の幅が大きく広がっています。
現在は無料でClaude3.5 sonnetやアーティファクト機能など最新の技術が使えます。ぜひ試してみてください。